Eurasia Group | パンデミックへの対応で世界が日本から学べること
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パンデミックへの対応で世界が日本から学べること

TIME
7 April 2020
???????2020?4?7?????????????????????????????REUTERS. 安倍晋三首相が2020年4月7日に緊急事態を発表した記者会見で男性が見ている。ロイター。REUTERS.
イアン・ブレマー 2020年4月9日

新型コロナウイルス感染症との闘いの真っただ中にいる米国は、アジアの経験にポスト・コロナの社会を見い出すことで希望を抱こうとしているのかもしれない。なんといってもアジアはコロナ感染症の症例が最初に確認された地域なのだから、回復も最初のはずだ。しかし、現実は必ずしもそうなってはいない。
日本を例に挙げてみよう。安倍晋三首相は感染者が急増していることを受けて4月7日、緊急事態宣言を発出するに至った。日本は平時であっても、大都市では日常的にマスクを着用する国である。しかも、政府機関が出す勧告に対する信頼度は米国よりも遥かに高い。
1カ月の緊急事態宣言が出されたことで、小池百合子東京都知事をはじめ7都府県(2020年4月7日時点)の知事は、ソーシャルディスタンス徹底の要請や大規模イベント・集会の禁止、医療施設としての土地・建物の強制使用、市民への外出自粛の要請など、コロナ感染拡大防止のための緊急対策を講じることができるようになる。
この決断は安倍首相にとって容易なものではなかった。というのも日本経済はすでに苦境に立たされているからだ。特に東京2020オリンピック競技大会の延期が及ぼす打撃は大きいものになる。しかしそうした中で、安倍首相は世界中の政治家が抱えているのと同じジレンマに立ち向かわなければならない。つまり、多くの命を救うために、いま経済に及んでいる激しい痛みを受け入れ、その上でこの厳しい状況をさらに悪化させないための有効な方法を見い出さなければならないのだ。
安倍首相が抱える問題は他にもある。日本には、中国が実施したような都市封鎖(ロックダウン)の根拠となり得る法律がない。もちろん他の民主主義国家と同様に、緊要補給品の転売行為などに罰則を課したり、医療用途で建物を強制使用したりすることは認められているが、大勢で集まったり、外出したからといって法を遵守する市民に罰金を科したり、拘束したりすることはない。国・地方自治体としては、市民が勧告を真摯に受け止めてくれることに期待するしかない。
安倍首相はまた、緊急事態宣言の期限を1カ月とすることで、経済的損失が限定的なものになることを期待している。時が経たなければ結果は分からないが、この対策が失敗に終わり、感染者の急増が続くようであれば、早い段階に思い切った措置を講じるよう求めていた人々の怒りを買う事態になることは、首相も理解している。
緊急事態宣言を発出してからすぐに、安倍首相は事業規模108兆円、財政支出39兆円の緊急経済対策を打ち出した。これが十分な規模といえるのか。それを判断するには時期尚早である。ただ、この対策に基づき支給される資金は、いま窮地にある企業と家計に速やかに届くのだろうか。
安倍首相もトランプ大統領と同じように、有権者がこうした施策を評価することを期待している。安倍首相の対応が賢明なもので、日本経済が難局を乗り越えたと国民が認めれば、総裁としての任期満了前の今年後半にも総選挙を行う可能性もでてくる。
アジアで危機の再燃に直面しているわけのは日本だけではない。シンガポールをはじめ香港、韓国、台湾では再び感染者が増加したことを受け、ソーシャルディスタンスに関する規則を強化した。シンガポール政府は4月3日、全学校と大半の企業の1か月間の閉鎖を決定した。また感染拡大の抑制に最も成功していると自賛していた韓国も、新たな防疫管理強化策を発表した。4月1日以降、韓国への入国者は、韓国政府指定の施設で14日間の隔離生活に入ることを誓約する書面に署名してから搭乗しなければならない。
こうした事由を踏まえ、欧米各国は希望を抱くためではなく、感染の第二波を抑止するための知見を得るためにアジアに目を向ける必要がある。なぜならアジアでは、もちろん他のどの国でも同じように、コロナの感染状況を表す信号が赤から最終的に青に変わるまでの間に、何度も黄色を点滅させることになるからだ。

This article originally appeared in the 20 April 2020 issues of TIME.
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Ian Bremmer is the president and founder of Eurasia Group, the leading global political risk research and consulting firm. He is also the president and founder of GZERO Media, a Eurasia Group company dedicated to helping a broad, global audience make sense of today's leaderless world.
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